「歩いてもたいして痩せない」
「1時間歩くより効率のいい運動が
あるらしい」
そう言われると、
歩くことが
物足りなく思えてきます。
でも——
腰や膝が痛い方にとっての「歩く」は、消費カロリーの話ではありません。
目的は、力を抜くこと
痛みを抱えている方の体は、
たいてい
力が入っています。
かばって、守って、
固まっている。
その力を、いかに緩めるか。
散歩や歩行のいちばんの目的は、
そこにあります。
数字にすれば、
確かに少ないでしょう。
ダイエットとしては
物足りないくらいです。
でも、物足りないくらいがちょうどいいのです。
歩いているうちに
腰が楽になってきた——
そんな経験は
ありませんか。
あれは、
筋肉が緩んだ証拠です。
頑張って歩数を
稼ごうとした瞬間に、
体はまた固まります。
先日、
仕事で一日中歩いても
運動にはならない、という
話を書きました。
同じ「歩く」でも、どんな気持ちで歩くかで中身がまるで変わります。
足元ではなく、木を見上げてみてください
とはいえ、
「姿勢を良くして歩こう」と
意識しても、
なかなか続きません。
上半身が曲がっているのに
背筋だけ伸ばそうとしても、
どこかに無理が出るからです。
そこで、
一つおすすめの方法があります。
歩く時に、木を見上げてみてください。
小牧山でも、
近所の公園でも構いません。
木に付いている名札の
名前を読む。
枝に止まっている鳥や虫を
探す。
木漏れ日を見る。
それだけで、
背中は自然に丸まらなくなります。
胸が開いて、
顔が上を向くからです。
「姿勢を正す」と
意識するより、
ずっと楽で確実です。
上を見ていると、痛みが小さくなる
そしてもう一つ、
大事なことがあります。
上を見て歩いていると、痛いところに意識が集中しにくくなるのです。
痛みは、
意識を向ければ向けるほど
大きくなります。
だから、
緑を見るために歩く——
そんな理由で外に出て
いただいて、
まったく構いません。
ちなみに。
当院のホームページに
木漏れ日の光が
揺れているのも、
実は同じ理由からです。
上を向いた時に目に入るものが、体をゆるめてくれます。
まだ暑い日は続きますが、
朝と夕方は
少しずつ歩きやすく
なってきました。
歩数も、時間も、
気にしなくて大丈夫です。
「暑いなあ」と言いながら、
ゆっくり、
上を向いて。
それでいいのです。

小川